歯科領域における痛み  高知市青木歯科TOP   2019/12/6 2020/08/21更新

歯科領域における痛みは、多くの場合虫歯とその継発症(けいはつしょう)(歯髄炎、根尖性歯周炎 下図参照)です。また歯周病や歯の破折が原因になっていることもあります。さらに、歯ぎしりなどで強い力が歯にかかった場合も歯が痛くなることがあります。上の奥歯では上顎洞炎(蓄膿症)が原因になっていることもあります。上顎洞炎が起きているときの特徴は小鼻の横を押すと痛いこと振動すると痛いことです。鼻詰まりがあれば上顎洞炎が起きているといって間違いありません。痛みの部位を間違いやすいのはいわゆる神経の痛み(歯髄炎)です。下顎の奥歯の歯髄炎で頭の横まで痛くなることもあります。神経を取っている歯で、強い痛みがある場合は、根の先の病変の急性発作がほとんどといって間違いありません。

なお、顎関節症に伴い、顎の関節や筋肉/腱が痛いこともあります。

要約すると

@  むし歯とその継発症(歯髄炎:ジーンと痛い、ずきずき痛い、眠れないほど痛い→根尖性歯周炎:噛むと痛い 腫れる→歯性感染症:骨膜炎、骨髄炎、蜂窩織炎、歯性上顎洞炎など

A  歯に強い力がかかった場合(咬合性外傷、歯の破折など)

B  歯周病の急性発作、親知らず周囲の炎症

C  顎関節症に伴う顎の関節、筋肉、腱の痛み

D  原因不明の疼痛(非定型歯痛)下記参照 歯科での治療は困難。疼痛専門医を紹介します。

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むし歯→歯髄炎(いわゆる神経の炎症)→根の先の骨にできる病変と細菌が侵入してゆきます。

銀歯で治療してありましたが、もともと歯髄に近い大きな虫歯があったようです.神経が壊死しそれが上顎洞炎の原因になっていました。

根の先の病気が大きな神経まで達して頤部に違和感が出ていました。強い痛みがありました。

下顎の奥歯の虫歯から重篤な化膿性炎症が顎の下や頸部に広がることがあります。体温の上昇を伴えば入院加療の必要もあります。

 

 

咬合性外傷と知覚過敏(虫歯はないのに歯が痛い) 2019/12/4更新 

虫歯でもないのに歯が痛い・冷たいものが凍みる原因は、歯に過剰な力がかかっている(咬合性外傷)ことがよくあります。咬合性外傷とは、歯ぎしりや食いしばりで、歯に過剰な力がかかって歯と歯槽骨(歯の根が入っている骨)をつなぐ歯根膜が傷になっている状態です。歯髄(いわゆる神経)が壊死してしまうことさえありますが、そこまでひどくなることは極めてまれです。咬合性外傷の治療法には@かみ合わせの調整(咬合調整)A特定の歯に力のかかるのを防ぐバイトプレートの装着があります。歯軋りが原因のときは様子見することもあります。凍みていて咬んでも痛いというので、神経をとるのはオーバートリートメント(過剰診療)だと思います。鑑別診断が必要なのは、歯の破折と歯髄炎・歯髄壊死です。強い力がかかるため歯にひびが入っている場合があります。また、むし歯の治療の既往がある場合は気づかないうちに歯髄の炎症や壊死が起きていることがあります。

知覚過敏では、熱心に磨きすぎて歯茎が下がってしまい本来歯茎の中にあった根っこが口の中に露出して風がしみたり、ブラシの時にチクリと痛くなったりします。過剰なブラシで歯茎が下がる原因は、日本人の特に女性は歯茎の薄い方が多いこと、咬合性外傷で薄い歯槽骨が失われていることがあります。薬をぬることやシュミテクトなどの知覚過敏をおさえる薬剤の入った歯磨剤で症状をおさえ、過剰な歯ブラシを控えること、咬合性外傷を除去する咬合調整をすることで落ち着くことがほとんどです。

なお、上の奥歯が痛い場合には、上顎洞炎になっていることがあります。鼻の調子が悪いときは、ほぼ間違いなく上顎洞炎です。かなりの頻度で、根の先の病気が原因で上顎洞炎になることがあり、歯性上顎洞炎と呼ばれます。この場合は歯科の治療が必要になってきます。

 

 

原因不明の歯痛

レントゲンなどでは異常の認められない原因不明の歯痛を非定型歯痛といいます。虫歯でもない歯が痛いのは、過剰な力のかかった場合(咬合性外傷)によく見られます。しかし、咬合性外傷の症状(かむと痛い、しみる)は、咬合調整でたちまち消えることがほとんどで、かみしめ癖の場合でも一週間程度で消えることがほとんどです。それでも痛みの取れないときは、特定の歯に過剰な力がかかることを防ぐ装置(ナイトガード、バイトプレート)を装着することでよくなります。

 一方、非定型歯痛はナイトガードでも効果はなく痛みが続きます。そのため神経を取る(歯髄炎と診断)→長期間の根の治療→抜歯(歯根破折と診断)という経過をたどることがすくなくないようです。さらに進むと抜歯窩の掻爬(骨髄炎と診断)→星状神経節ブロック(神経痛と診断)という風に経過していくこともあるといいます。

非定型歯痛を含む身体表現性障害は稀なものではなく、一般病院の受診者の20%(WHO)、口腔外科外来患者の9(井川ら)に見られたという報告があります。近年、非定型歯痛にはトリプタノールなどの三環系抗うつ剤やSSRISNRIの使用が推奨されています。ただし日本では、歯科医師がこれらの薬剤を処方することはできません。そのため、非定型歯痛ではないかと考えられる場合は疼痛専門医にご紹介することになります。

※非定形歯痛は現在「持続性特発性顔面痛」と「外傷性有痛性三叉神経ニューロパチー」の二つを併せたものと考えられています。

※抜髄あるいは抜歯後の長引く痛みのうち神経障害性疼痛の特徴を有した場合「外傷性有痛性三叉神経ニューロパチー」と診断されます。治療は抗てんかん薬であるプレガバリン(リリカ)が使用されます。

※咬み合せの異常感は、口の中の違和感の中で最も難治だとされています(口腔顔面痛を治す、井川他)。重症の場合は徳島大学歯学部付属病院松香教授を紹介しています。

※舌の痛み、舌の違和感は歯科心身症の一つだと考えられてきました。現在では「心」の病ではなく「脳」の病であり脳内の電気信号の不調和、あるいは信号を伝達する化学物質の問題だとされています。

※若いときいわゆる頭痛もちであった人は三叉神経領域(歯、舌、歯茎など)の痛みが出やすいとの説があります。

参考

(1)『口腔顔面痛を治す』井川雅子、今井昇、山田和夫著 講談社健康ライブラリー(2009) 1400円。かみ合わせの異常感や原因不明の口腔領域の痛みでお悩みの方はご一読ください。

()『口腔顔面痛の診断と治療ガイドブック』第2 日本口腔顔面痛学会編、医歯薬出版 2016. 

ネット検索 https://www.jda.or.jp/park/trouble/index24.html お口の病気と治療

    

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